社団法人東北建設協会 - 建設技術者のための「東北の地質」

社団法人東北建設協会 理事長 菅原政一 社団法人東北建設協会
理事長 菅原 政一

発刊にあたって

近い将来、宮城県沖地震が高い確率で発生が予想されるとして、防災意識を啓発する講演会が各地で開催されております。 近年では平成16年10月に新潟中越地震が発生し、平成7年1月17日の阪神淡路大震災に次ぐ大地震で、人名・財産に甚大な被害をもたらしました。

一方で水害については、平成16年に台風が本土に10個も上陸し、日本各地に大きな被害をもたらしました。 また平成17年の台風14号では、九州南部・四国・東京都において大きな被害が発生しました。このとき四国の早明浦ダムでは、渇水が長期化し、貯水量がほぼ空の状況のなかで台風を迎えたため、結果として、大きな治水効果が発揮されるとともに利水の取水制限を一挙に解決することが出来ましたが、日常的には極めて不安定な状況におかれることも多く、改めて国土基盤の脆弱さを感じられました。

公共設備の整備は、国民の安全・安心の向上を図る上で最も基幹的な事業であり、その整備計画を立てるうえで、地形地質に関する情報は大切な基本資料となります。

(社)東北建設協会は、本年9月に創立40周年を迎えます。その記念事業の一つとして今回「建設技術者のための東北地方の資質」を企画いたしました。 編集に当りましては、東北大学理学部の蟹澤聰史名誉教授をはじめ多くの著名な教授の方々にご指導いただきながら、建設技術者に判りやすくをモットーに、各地の地質図の整合を図るとともに最新の知見に基き整理しました。

さらに新たな試みとして関係機関のご協力をいただき土地保全情報・地すべり地下地質・火山・地震・名勝天然記念物等、地質に関する各種のデータを紙上および電子盤に纏めたものであります。

建設技術者はもとより、地質学を勉強する方々に広く活用されることを願っております。